旅のラゴス

昔、SF小説が大好きでした。スペースオペラはけっこうたくさん読みました。星新一さんのショートショートなんかも。今回は筒井さんの長編小説を選びました。

「旅のラゴス」、筒井康隆、1986.9、216p

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「北から南へ、そして南から北へ。ひたすら旅を続ける男ラゴス。生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?」

シルクロード風旅物語かと読み始めたら、急に、集団転移に、壁抜けと、特殊能力がさりげなく出てきます。ありゃ、やっぱり、SFだったんだぁー。でも、それ以降も、淡々と旅が続きます。でも、そのころになると、読むのがやめられなくなります。面白い。

このお話しは、もうひとつの地球が舞台なのか、もしかしたら、未来の地球の話なのか、悩んでしまうんですが、途中でそんなことはどうでもよくなります。

電気もない世界から、ラゴスの功績により、産業革命を迎えるんですが、ただ、それが、ほんとうに、人々にとって、幸せなのかどうかということは考えさせられます。

ラストは放りっぱなしで終わります。老いたラゴスは、若いころに出会ったデーデ、いまは氷の女王となった彼女に会うことができたのか?きっと会えたんだと思います。

ちょっと、不思議なストーリィで、ファンタジー小説という分類なんでしょうか、面白くて面白くて、傑作といってよい本だと思います。