蒼穹の昴

鉄道員(ぽっぽや)」や「壬生義士伝(みぶぎしでん)」は、映画で見ました。でも、その他の作品を含めて、一冊も本を読んだことがありませんでした。大作家さんなんで、なにか一冊ということで、ちょっと古い本を選んでみました。

蒼穹の昴(そうきゅうのすばる)上、浅田次郎、1996.04、351p

蒼穹の昴(そうきゅうのすばる)下、浅田次郎、1996.04、412p

Asada

「『汝は必ずや西太后の財宝をことごとく手中におさむるであろう』。中国清朝末期、貧しい農民の少年・春児は占い師の予言を信じて宦官になろうと決意した。 ・・・・」

何の予備知識もなく読み始めたら、なんとなんと読みづらいこと。最初の数ページは、漢字ばかりで、何のことやら。

それに、次から次へと出てくる人がみんな「李〇〇」や「李△△」、ということで、表紙裏の登場人物一欄や、巻末の系統図を参照しながら・・・・。で、しばらくして、「これは、大昔じゃなくて、清の時代なんだ」ということに気づきました。日本だともう明治時代の話です。

田舎の貧民の子、李春雲。その兄貴分、梁文秀。李春雲の妹、李玲玲。そして、悪名たかき西太后・・・・・・。

次から次へと、なんとまぁ魅力的な登場人物ばかり。彼らが織り成すスケールのばかでかいお話し。

史実とフィクションがまじりあって、難解な出だしを通り抜けると、ほんと読むのが止まらなくなります。

そして、終盤、みんなが不幸の嵐に巻き込まれても、ほんの少しの「蒼穹の昴(青空の星)」を見たとき、涙が・・・・。最終頁の若き日の春雲と玲玲のやりとりは、ほんと、涙なしでは読むことはできません。

こんなに、感動した本っていままでなかったような・・・・・・。