八日目の蝉

たしか、朝の情報番組のブックコーナーで作者の方が出演されていました。どんな話しをされていたのか忘れてしまったんですが、すぐに、図書館HP予約カゴに、ちょっと前の作品を入れました。だいぶたってから予約申請しました。

「八日目の蝉」』(ようかめのせみ)、角田光代(かくた みつよ)、2007.3、346p

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「逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。誘拐犯と誘拐された子。」

父さんは、大阪で生まれ、学校を出て、横浜で就職し、結婚して、子供が生まれました。どこにでもある、ごくありふれた人生だと思います。これだと、ベストセラー小説にはならないでしょう。

第一章は、赤ん坊を誘拐した女性の逃避行です。そして、第二章で、成長した子供は、誘拐犯と同じような道をたどり始め・・・・。

こんなことが起こるんでしょうか?しょせん、フィクションでしょう。

でも、毎日、TVニュースで、誘拐や殺人の報道が続々です。容疑者が捕まっても、もう、その事件自体を忘れてしまっています。

蝉は数年間土の中にいながら、地上に出てからは、七日で死んでしまうそうです。

八日目の蝉は、取り残されてしまった寂しさと同時に、みんなが見ることができなかったものが見られたのかもしれません。

読んだあと、平凡に生きていることが幸せだと思えます。そして、いまの世の中、ふつうに生きることが難しくなっってきたような気がします。