少年と犬

馳星周さんは有名な作家さんなんですけど、いままで読んだことがありません。
直木賞受賞と聞いて、あわてて、図書館予約したら600人以上の大行列。
しばらく待つしかないと思っていたら、貸していただきました。

少年と犬、馳星周文藝春秋、2020.5、20cm 308p、8月

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「家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった。」

6つの連作短編集です。
読み進めるうち途中で、この犬は「死神」ではないかと思ってしまうんですが…。
先が気になって気になって、ほとんど一気に読んでしまいました。
犬がこう思っているというようなことはいっさい書かれていません。ただ、周りの人たちが犬はいまこう思っているんだろうと推測しているだけです。

直木賞選考委員の宮部みゆきさんが「犬を出すのはずるい」とおっしゃっていました。同感です。
最終章はもう最初から涙なくしては読めません。

初めて掲載された雑誌の発行年月を見たら、6章目が一番古いです。
ということは、残りの章は、その後に書かれたと言うことになります。
単行本にするときの編集のうまさを感じました。