マルドゥック・スクランブル

この春、「天地明察」を読んだあと、作者の方を調べたら、実は時代小説は非常にめずらしく、もともとはSF小説作家だということを知りました。じゃあ、ということで、選んだのが・・・・。

マルドゥック・スクランブル」 改訂新版、冲方丁(うぶかた とう)、2010.9、638p

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「ある夜、少女娼婦バロットは、賭博師シェルにより爆炎にのまれる。焼死状態の彼女を救ったのは、委任事件担当者にしてネズミ型万能兵器のウフコックと、ドクターだった。」

638ページ、めちゃくちゃ分厚くて重い。それに、やたら、カタカナルビがふってあって、わけのわかんない言葉が続いて、なかなか前へ進みません。

でも、敵役の圧倒的な力を持つ怪物ボイルドとのド派手な銃撃戦あたりから面白くなり、そのあと延々と続くカジノ場面では、手に汗握ってしまいます。

読んでしまえば、結局、ある少女の成長物語ですが、やはり、ウフコックという存在がこの作品のすべてのような気がします。

人間のことばを理解する金色のなんにでも変形できるネズミ型万能兵器。そんなもんあるわけ無いだろうと思うんですが、読んでいるうちに、もしかしたら、未来には生まれるかもと思ってしまいます。

その彼と少女バロットとの絆、ふたりの信頼関係がこのドラマの中心だろうと思います。

緻密に練られたストーリィ、登場人物がみんな魅力的、特にカジノで登場するディーラーたちにはすがすがしさを感じてしまいました。

それにしても、長かったなぁー。

あとで、調べたら、もともとは3冊で出版されたものを、一冊にまとめ加筆して「改訂新版」として出版されたみたいです。どうりで・・・・。